背景2023年のChatGPTリリースを見て、あらゆる領域のあらゆるアプリケーションに生成AIが組み込まれる未来が来ると確信しました。そこからすぐに生成AI特化の開発会社LangCoreを立ち上げ、1年間の累計で50件を超えるプロダクト開発やコンサル支援を行いました。たった1年の間で生成AIは大幅に進化をして、エコシステムも充実してきたことで、エンジニアの仕事のあり方はとても変わったなと思います。クライアントワークを通して、ポスト生成AIのエンジニアに求められる資質が変わってきている実感があります。今回はどんな資質が評価され始めているのか、について書いていきたいと思います。生成AIによって変わったこと生成AIによって、大きく次の3つがエンジニアの働き方に影響を与えていると思っています。① 知識へのアクセス性が向上した② 基本的なコーディングタスクの自動化された③ 自分の領域を広げることができるようになった知識へのアクセス性が向上した細かいプログラミングの知識や、コマンドの暗記をしていなくても問題がなくなりました。実装をしていてエラーが出ればすぐにChatGPTに聞くし、実装方法が分からない時は要件を丁寧に生成AIに教えて全部コーディングしてもらいます。他にも今までであれば、port 8080のプロセスをkillするのにもいちいちコマンドを調べたり暗記をしている必要がありましたが、自然言語で命令をしてやりたいことができるようになりました。基本的なコーディングタスクの自動化された今までのプログラミングには「何を書くべきかが明確で、あとはとにかくそれをタイピングするだけ」という単調作業がありましたが、それは全て自動化されました。リファレンスになるコードを見せて「この部分だけ変えて」というような指示を出してコードを生成することもできます。要件をテストコードに落とし込む作業も、一からテストコードを書くことはなくなりました。CreateXYZやClaude Artifactのようなツールを使えば、自然言語で良さげなUIを作ってくれて、一切プログラミング知識がなくても簡単なWebアプリを作ることもできるようになっています。自分の領域を広げることができるようになった今までは新しいことを学ぶことは非常に敷居が高く、重たい腰を上げないとなかなかしんどい作業でした。アプリケーションエンジニアといえどなかなか全ての領域を学び切ることはしんどかったわけですが、モバイルアプリやChrome拡張、クラウドのIaCコード、その他今まで触ったことがなかった領域でも生成AIがあれば新規参入が非常に容易になりました。コンサル出身の非エンジニアがChatGPTとペアプロをして、かなりクオリティの高いアプリを作っているのを見て驚愕しました。専門性の意味が変わってきている生成AIの出現によってエンジニアの仕事のあり方は大幅に変わって生産性が非常に上がりました。しかしこれは別の捉え方をすると、「AIに仕事を奪われている」とも言えます。今のところ顕著な変化は起きていない認識ですが、現在進行形でじわじわと仕事を奪われ始めている人がいるなという実感があります。特に基礎レベルの低いエンジニアだと、知識不足や言語化能力の問題から生成AIとのやり取りでうまく答えに辿り着けていない印象があります。結果的に周りとの差が広がり、単純作業は生成AIが行うのでプロジェクトの中でやれることがない、という状況に陥っているのを観測しました。従来の「専門性」の定義が変化し単なる技術的知識やスキルだけでなく、AIを効果的に活用する能力、複雑な問題を解決する力、創造的思考能力などが新たな「専門性」として重要視されるようになっていくのだろうなと思います。生成AIを活用するには全体像を把握して、ゴールを設定する能力が必要で、それがあって初めてゴールに到達するまでのプロセスを効率化できるのだと思います。この1年どんな資質が評価されたか振り返るこのようなエンジニアの立場や仕事のあり方の変化の中、自分たちが1年間のクライアントワークを通じてどのような部分が評価されているのかを見直しました。過去の評価結果をまとめた結果、次の4つが共通して評価されるポイントでした。前のめりなスピード感早く、前のめりな対応。頼んだ1時間後に終わってる。頼む前から終わっている。経験と適切な優先度付けに基づくスピード感で、経験のない他の人に頼むよりも10倍早い質問事項への回答やプロトタイプの実装が全て迅速短期間でのプロジェクト推進補足: 生成AIをフル活用することで、他の人たちよりも圧倒的なスピード感を提供できます。結果的に短期間でのプロジェクト推進ができるため、クライアントに喜ばれます。クライアントを上回る問題解決力経験に基づいた的確なアドバイス「すでに一度、似たような課題で頭を捻ったことがある」という経験が大きな時間短縮の価値を提供する的確な課題分析とソリューション提供補足: 企画会議では「AIを使ってこんなことができそう(な気がする)」「AIにはこんなことはできない(気がする)」という空想で議論されることがありますが、実際に過去にそれをやったことがある人が喋ると一気に話が前に進みます。実際にものを見せることができると尚良いです。最新技術への知見と経験の深さ生成AIの最先端の知見を豊富に保有知見だけではなく、実用的なサービスに落とし込むためのノウハウを持っている様々な業界での開発事例を有している補足: AIを活用したいと思っても日々新しいものが出てきてキャッチアップが大変です。ただコミュニティの盛り上がりが半端ではないのでXを見ているだけで動向はチェックできます。実際に新しいものが出てきたら、触ってみたり開発に使ってみることで、より奥行きのある知見に繋がっていくと思います。ヒトとコトへの誠実さ相談から実装まで、状況に合わせた臨機応変な対応が可能定期的な報告や締め切りの厳守を行う誠実な人柄補足: 結局のところ、仕事は人と人で行うものであることは変わりありません。仕事をもらって、継続していくには信頼を積み重ねることはとにかく重要です。最後にChatGPTの出現から激動の1年半でしたが、生成AIはここ数年のトレンドであり続けると思いますし、また10年先には当たり前に浸透していくものかと思います。そんな社会実装を支援していくことと、そして10年先の当たり前になった世界を見据えて自分たちのリスキリングをしていくことは非常に重要なのだろうなと思います。積極的に採用もしているので、もし興味があればお話ししましょう!https://corp.langcore.org/careers